イリボー

2008年に上市された強力な 5-HT3 拮抗薬。

5-HT とは 5-hydroxytryptamine の略でセロトニンと呼ばれ、様々な生理活性を有する物質である。
その受容体は 5-HT1 〜 5-HT7 の 7 種類あり、セロトニンが 5-HT3 と結合するとアセチルコリンが分泌されて下痢が誘発される。

イリボーの薬理作用は、アステラス製薬の論文によると以下のようになっている。
(図のラモセトロンがイリボー)

作用メカニズム
  1. ストレスによって視床下部から CRF(corticotropinreleasing factor : コルチコトロピン放出因子)が分泌される。
  2. 全身のセロトニンの 90 % は腸管内の EC 細胞(enterochromaffin)内に存在しており、CRF によりセロトニンが放出される。
  3. セロトニンは腸管神経叢の 5-HT3 受容体に結合して、アセチルコリンを分泌させる。
  4. アセチルコリンは大腸輸送能や水分輸送の異常を誘発して下痢が起こる。
  5. 大腸輸送能の異常は大腸内圧を上昇させ、その結果さらにセロトニンが分泌される。
  6. セロトニンは求心性神経にある 5-HT3 受容体とも結合して、痛覚シグナルを反復して伝達することにより痛覚過敏が起こる。
  7. イリボーは腸管神経叢の 5-HT3 受容体と求心性神経にある 5-HT3 受容体に結合して、下痢とともに痛覚過敏を抑制する。
kunokatura